絹組紐の原材料である絹糸の製造工程について
1,絹原料
養蚕によってつくられた繭を製糸してつくられる生糸。おもに21中、27中、42中の太さを使用する。
2.撚糸加工
通常21中を3本合糸し下撚りをかける −−− 一般的には右撚り600T/M
次に下撚りをした糸をまた3本合糸し上撚りをかける−−−左撚り500T/M
こうして撚り上げられたものが21中/3x3
9本3子と呼ばれる糸となる。
他にも21中/4x3 、21中/4x2等がある。
3.カセ揚げ
撚り揚げられた糸を規定の長さに枠どりする。通常1.27mの枠で2000回とする。
4.精錬
絹糸は生糸の状態では通常使用しません。生糸表面を覆っているセリシンというたんぱく質を洗い落として使用します。
この作業を精錬といい、これにより糸の質量は生糸の約75%に減ってしまいます。
5.染色
精錬された糸に酸性染料、反応染料などを用いて着色させる。このようにしてつくられた絹糸を必要本数に合糸して寸法をとり、組上げていきます。
金銀糸とは
金銀糸とは本金箔や真空蒸着フィルムを細く裁断し、それを芯糸(おもに100〜200デニールの絹糸、テトロン糸やレーヨン糸)に螺旋状に撚りつけたものです。
美しい金属光沢を放ち、組紐をはじめとした和装関連品や各種伝統工芸品、装飾品、ファッション関連など幅広い用途に使用されています。
<本金糸>
本金糸はまず原反となる和紙に接着剤となる漆を引き、その上に本金箔を職人の手により一枚一枚丁寧に押していきます。
通常、組紐に使用される本金箔は純金一号色と呼ばれる純度97.5%のものです。箔押しの作業は和紙の長尺の原反に数千枚の金箔を手作業で押してゆくのですが、金箔の光沢や定着を決定付ける漆の状態は、その日の湿度や温度に大きく左右されます。
その漆の状態の見極めはやはり長年の経験と勘が必要とされる職人技の領域といえます。そのようにして出来上がった原反を細く裁断し、芯糸に撚りつけたものが本金糸です。
本金糸には芯糸は主に黄色に染めた正絹糸を使用しています。本金箔を使用し、また原料の製作工程から職人の手作業による部分が非常に多く、ゆえに高価な品物ですが、本金糸の放つ光沢は非常に美しいものです。
<ソフト紛い金糸>
ソフト紛い(まがい)金糸(以下ソフト金糸)は、透明のポリエステルフィルムに純銀を真空蒸着(乾式メッキ)したものに染色塗料で着色したものを原反とし、それを細く裁断したものを芯糸に撚り付けたものです。
芯糸にはおもにポリエステル糸やレーヨン糸を使用しています。純銀をべースに金色を着色しているので安価に製造でき、幅広い用途に使用できます。
また、おもに組紐に使用される「アンダーコート製法」による金糸は表面がフィルム面となるので摩擦や耐光等の堅牢度も確保しやすいのが特徴です。現在では金糸として主流に使用されているのがソフト金糸です。
ソフト金フィルム構造 |
ソフト銀フィルム構造 |
表面 |
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表面 |
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フィルム層 |
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フィルム層 |
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着色層 |
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金属蒸着層 |
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金属蒸着層 |
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白色コート層 |
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白色コート層 |
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裏貼り紙層 |
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裏貼り紙層 |
裏面 |
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裏面 |
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資料提供:金銀糸製造卸 株式会社寺島保太良商店 |
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